恋愛と失恋の果てに。

涙を拭きながら私は、スマホを取り出した。
電話をした相手は、さゆりだ。
彼女に聞いてほしくて事情を話す。

『えぇっ!?
ちょっとそれって復縁じゃん!!』

「……うん。失恋しちゃった。
課長は、ずっと忘れずに居たんだよ。
娘さんだけじゃなくて、奥さんのことも……」

ずっと忘れずに好きだった。

『そっか……元奥さんは、最強だよね。
子供が居るとなおさら』

「……そうだね」
本当にそうだよね。

夫婦として課長に愛されていた奥さん。
紙切れ1枚で離婚していても嫌いで
別れた訳じゃないなら
なおさら気持ちは、深いままだ。

それに子供が居るなら
ずっと関わり合っていかないとならない。
2人の子供として責任もあるし、何より
大切な存在。

あぁ、何で……奥さんより遅くに出会ったのだろう。
奥さんより少しでも早く出会っていたら
立場が違っていたかもしれないのに。

「ねぇ……さゆり」

『うん?何?』

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