恋愛と失恋の果てに。

頭の中がパニックになる。
どうしたらいいか、分からずに硬直してしまう。

「急に押し掛けてすまない。
尾野が、体調を崩してこんなに休んでいるなんて
珍しいからな。その……失礼ながら
社員名簿で調べて様子を見に行たのだが……大丈夫か?」
申し訳なさそうに言う課長。

社員名簿……?
だから場所が分かったわけね。

で、でも……今さら何を話せばいいの!?
課長を見た瞬間。
あの映像が焼き付いて頭から離れない。

全身が、ガタガタと震え上がり
動悸が激しくなってくる。
苦しい……。

「尾野?大丈夫か!?
顔色が真っ青だぞ!?」

あれ……?
呼吸って……どうやって吸うんだっけ?

「尾野……?しっかりしろ」
そう言い課長は、私に手を伸ばしてくる。

嫌だ……怖い。
死にたいぐらいの恐怖が私に襲ってくる。
その時だった。

ガシッと課長の手を誰かが掴まえる。
意識がぼんやりする中、見てみると……
阿部さんだった。

「阿部さ……ん?」

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