恋愛と失恋の果てに。
「阿部さん……?」
一瞬何で彼がここに居るのか分からなかったが
すぐに思い出す。
そうだ。課長が来て謝罪をされたんだった。
そして私は、あのまま気絶しちゃって……
思い出せば、思い出すほど恥ずかしさと胸が苦しくなる。
身体中が動悸が激しくなりガタガタと震え出す。
「千奈美さん大丈夫!?」
「どうしょう。わ、私は……」
今さらになって後悔しだす。
私は、課長にとんでもない発言をしてしまった。
下手したら内心怒っていたかも知れない。
不安と自己嫌悪が襲ってくる。
ど、どうしょう……私。
すると阿部さんは、私の背中を擦ってくれた。
「大丈夫。大丈夫だよ……千奈美さん。
君の発言は、とてもカッコ良かったよ!
課長さんも君の気持ちを理解してくれたと思うよ」
阿部さん……。
「そう……でしょうか?」
「うん。第三者の俺でも千奈美さんの気持ちが
十分伝わった。それが課長なら、なおさらだ。
でも伝えるのは……辛かったな。よく頑張ったね」
そう言って優しく抱き寄せてくれた。
阿部さんのぬくもりは、優しくて
温かった。
その温かさに涙が溢れてしまう。
しばらく涙を流していたら阿部さんは、
「お腹空いてない?
ちょっとキッチンを借りてお粥を作ったんだけど
食べられそう?」
そう言って笑顔で接してくれた。