恋愛と失恋の果てに。

私は、小さく頷くと阿部さんは、小鍋から
お粥をお椀によそって渡してくれた。

「熱いから気を付けて」

「ありがとう……」
冷ましながら食べてみると美味しかった。
温かくて‥阿部さんのようだ。

その姿を見ながら彼は、私に
「俺さ‥‥あれから考えたんだけど
千奈美さん。ウチの会社で働いてみないか?」
そう言ってきた。

えぇっ!?
危うく驚いていてお椀を落としそうになった。

「阿部さんの……会社ですか!?」
まさか、転職のことを言われるなんて
思わなかったから余計驚いた。

どうして……?

戸惑っている私に真剣な表情で
「今の状況で会社に行くのは、辛いと思うんだ。
香織姉さんから聞いたけど……パニック障害を克服するには、少しずつ大丈夫だって慣れさせて行くことも
大切だと言っていたけど俺は、そうは思わない」

「無理に苦しみ続けるより
新しい環境で……少しずつでも社会復帰した方が
千奈美さんのためになると思うんだ。
君だってまた課長と顔を合わせるのは、辛いだろう?
こんな想いをしてまで会社に残ることはないと思うんだ」
そう言ってくる。

阿部さんは、私がパニック障害だと
お姉さんから聞いたんだ?

確かに………あんなことがあった以上
私は、課長と顔を合わせづらい。
会社にも行きにくくなってしまった。

< 139 / 235 >

この作品をシェア

pagetop