恋愛と失恋の果てに。
私は、課長のことが……嫌いなんかじゃない。
好きなの……好きだから死ぬほど辛いの。
あなたは、私を見てくれないから。
「……ないで」
「えっ?」
課長が振り返り聞き返してくる。
私は、ハッとして言いかけた言葉を呑み込んだ。
言ったらダメ。
課長と家族をそれ以上苦しめたくはない。
「な、何でも……ありません」
本当は、すがってもいいから止めたかった。
でも、そんなことをしても意味がないと
分かっているし
これ以上近くにいたら病状が悪化してしまう。
私だけ我慢すれば……
「尾野……本当に大丈夫か……?」
課長がまた私に気にかけようとしたその時。
「千奈美さん!?大丈夫か?」
阿部さんが私を見つけて駆け寄ってくれた。
阿部さん……
私を抱き寄せるように立たせてくれる。
すると課長をジロッと睨み付けた。
「何で……あんたが、ここに居るんだ?」
どうやら誤解をしているようだった。
違う……。