恋愛と失恋の果てに。
エレベーターに乗り込むと私は、
阿部さんに尋ねてみる。
「あの……阿部さんの会社って一体何をやっている
会社なんですか?」
子会社をいくつか持っていると言っていたし
会社から見ても私の働いているところより
遥かに大きいだろう。
「あぁ、派遣とか色々やっているよ!
一番注目を浴びているのは、芸能事務所かな。
知らない?南アリサや桐村夏蓮とかモデルや
女優とかがほとんどだけど」
あぁ思い出した!!
阿部エンタープロダクションって
大手芸能事務所の名前だわ!?
南アリサとか桐村夏蓮なんて
モデルから女優までやっている売れっ子だ。
凄い……。ってことは、阿部さんは、そこの事務所の
御曹司ってことになるのかしら。
「凄いですね……阿部さんって」
するとアハハッと笑う阿部さん。
「凄いのは、俺じゃなくて父親だからだよ。
俺なんてまだまだひよっ子だからね。
いつも叱られっぱなしで……いつ跡を継げれるか
分かったものじゃない」
謙虚なところがあるけど
きっと凄い人なんだと思った。
しかしそう考えると両親は、凄い人とお見合いを
させようとしてたわよね。
住む世界か違い過ぎる。
ちょっと恐縮していると私の頭をポンポンと
撫でてきた。
「そんなに恐縮しなくても大丈夫だよ。
俺は、俺のままだし普通に接してくれたら嬉しい」
そう言って苦笑いされる。
阿部さん……。