恋愛と失恋の果てに。
エレベーターが着くと降りる。
案内された部屋の中に通されると
広々とした部屋だった。
「ここが俺が仕事に使っている部屋だよ。
これでも代表取締役をやっているからね」
だ、代表取締役!!?
「凄いですね……代表取締役だなんて」
次期跡継ぎなら当然なことなのだろうけど
私にとったら驚きの連続だった。
「 アハハッ……ありがとう。
聞こえがいいのは、名前だけだよ。
父は、まだ現役の社長だしその秘書は、
俺の姉……希美姉さんだからね。上に最強コンビが居るから俺なんか下っ端だよ!」
「そんなことは、ありませんよ。
立派なことだと思います」
こんなに凄い人なのにそんな印象は、ほとんど
見せなかった。確かにマンションは、立派だったけど
気さくで優しく庶民的な部分があるせいかだろうか。
それでも偉ぶらないところが阿部さんの魅力なんだと思う。
改めて阿部さんの存在を認識する。
すると何だか心臓がドキドキと高鳴ってきた。
すると後ろから
「阿部様。お昼の準備が整いました」
さっき下に居て一緒にエレベーターに上がったはずの
秘書らしき女性が声をかけてきた。
「あぁ、ありがとう。
この人は、俺の秘書をしてくれてる有村さんだ」
自己紹介をしてくれる。