恋愛と失恋の果てに。

そうしたら阿部さんが
「大丈夫。大丈夫だから。
少しずつ息を大きく吸って吐いていこう。
千奈美さん……吸って……」
私に呼吸の仕方を教えてくれた。

阿部さんの指示に従い呼吸を繰り返したら
少しずつ落ち着きを取り戻していく。

「落ち着いてきた?」

「は、はい。ありがとうございます」
変な脂汗をかいてしまった……。

「良かった……香織姉さんから
対処の仕方を聞いておいて」
苦笑いしながらハンカチを差し出してくれた。

するとそれを見ていた上の……じゃなかった
希美さんが
「そう言えば……あなた。千奈美さんって
パニック障害だったわね?香織から聞いたけど」
思い出したように私に言ってきた。

ビクッ!!
その言葉を聞いて肩を震わす。
「は、はい。最近発覚しました」

もしかしてダメだったのだろうか?
再就職でも相手としても病気だとまずい……かしら?

「希美姉さん。そんなこといいじゃないか!?
今さら関係ないだろ?もう決まったんだから」
慌ててフォローをしてくれようとする阿部さん。

阿部さん……。

だが希美さんは、
「あら、大いに関係あるわよ。
ここで仕事をする以上は、大切なことだわ」
ビシッと言われてしまう。

確かに……そうだわ。
仕事をする以上は、きちんとやらないといけない。
病気のせいにして仕事を疎かには出来ないし……。

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