恋愛と失恋の果てに。
「そんなことないよ。これは、大事な事だし。
君の上司になる身としては、そこは、きちんと
させておかないと……なんてね。
ちょっと上司ぶってみました」
冗談まじりに言う阿部さん。
相変わらず阿部さんは、優しい。
「ありがとうございます」
正直1人で行くのは、不安で仕方がなかった。
阿部さんが一緒に来てくれると心強い。
翌日。
私は、阿部さんと一緒に会社に辞表を
出しに向かった。うぅっ……緊張する。
両親には、会社に辞める事と病気の事を話した。
最初は、驚かれ反対されたが
阿部さんの会社で働けることになったと言ったら
賛成してくれた。
病気の理由は、話せなかったけど……
あぁ、それより課長にもう一度会わないといけない。
そう思うと逃げたしたくなるぐらい不安になってきた。
全身がガタガタと震えて変な脂汗が出る。
静まれ動悸。
落ち着け……自分。
すると横で座っていた阿部さんは、私の手を
ギュッと握ってくれた。
えっ……?
阿部さんを見るとニコッと微笑んでくれた。
「大丈夫だよ。俺がそばに居るから」
「……はい。」
不思議と阿部さんに触れると安心が出来た。