恋愛と失恋の果てに。

そうしたら阿部さんは、優しく私の背中を押して
「大丈夫。俺がそばに居るから。
さぁ、深呼吸して行こう!」
励ましてくれる。

不思議と阿部さんが言われると肩の力が抜けて
前に進むことが出来た。
あんなに怖かったはずなのに……。

中に入ると数人の同僚が私に気づいてくれた。
「あ、尾野さん!!久しぶり~もう大丈夫なの?」

「具合が悪いと聞いたけど……えっ?ちょっと
後ろに居るイケメン誰!?」

あっという間に私より
阿部さんの方に釘つけになる女性社員達。
若干私は、ほったらかし!?と思ったが
変に気を遣われたり、変な目で見られるより
ずっといいかと思った。

阿部さんも苦笑いをしているし……。
ちょっとホッとする。しかし

「尾野……会社に来れたのか!?」
課長の声で、またもやビクッと震え上がった。

「あ、あの……」
課長の顔を見たら言いたい事が言えず
頭が真っ白になってしまう。
ど、どうしょう……何て言えばいいんだっけ?

動悸が激しくなりテンパってしまう。
オロオロしたいたら阿部さんが私に
「千奈美さん。まずは、渡す物があるんだろ?」
こっそりと教えてくれた。

あ、そうだわ!!
じ、辞表を渡さなくちゃあ……。
慌ててカバンから辞表を書いた封筒を取り出す。

「あの……今月いっぱいで
一身上の都合で辞めさせて頂きたいのですが……」
勇気を振り絞って伝えた。

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