恋愛と失恋の果てに。
すると課長の眉がピクッと動いた。
私は、ビクッと震えて上がる。
「一身上の……都合だと?
辞めたいとは……どう言うことなんだ?」
「あ、あの……それは……」
どう説明をしたらいいのだろうか。
鼓動が激しくなり動揺する。
すると阿部さんは、にこやかに
「一身上の都合は、一身上の都合ですよ。
周りの方達が居るのに、わざわざ全部話せと……?」
私を庇いつつ課長に意見を言った。
阿部さん!?
それを聞いた課長は、眉を寄せる。
「君は……以前も会ったことがあるな?
部外者が勝手に出入りされては、迷惑だ」
凄い怖い表情をする。
一気に周りの空気が冷たく凍りつく。
だが阿部さんは、それに動じない。
ニコッと微笑みながら背広のポケットから
名刺を取り出した。
「申し遅れました。俺は、こう言う者です」
課長にその名刺を差し出した。
課長は、受け取るとその名刺を見る。
「阿部エンタープロダクション本部
代表取締役・阿部陸斗だと……?」
「はい。主に有名なのは、芸能事務所ですね。
多くのモデルや女優等を出しています。
芸能事務所の名前ぐらい聞いたことがありますよね?」
あえて挑発した態度をとる阿部さん。