恋愛と失恋の果てに。
「そうだったら……何だと言うんですか?」
阿部さんは、冷たい口調で言ってくる。
「………別に……大した意味はない」
暗い表情で言う課長。
課長……?
それからアッサリと手続きが終わってしまった。
本当にアッサリと……。
課長の表情が引っかかったが
これでいいのだと思う。
私と課長の関係は、これで終わってしまった。
もう……上司と部下でもない。
それ以上に関係にはならなかっただけで……。
外から会社を眺めていたら
阿部さんが乗ってきた車が停まる。
ドアが開くと阿部さんが出てきた。
「お待たせ。そろそろ行こうか?」
「……はい。」
少し切なくなったが会社にさようならを言い私は、
車に乗り込んだ。
走っていると阿部さんは、私に
「大丈夫……?」と尋ねてくる。
「えっ……?」
「今まで勤めてきた会社なんだから
色々と思い出深いだろうし、課長さんのこともある。
切なくなるのは、仕方がないことだよ。
無理して我慢しなくてもいいからさ」