恋愛と失恋の果てに。
今、凄い酷いことを言われたような……?
あまりのことに唖然としてしまう。
「恵斗!?千奈美さんに失礼だぞ!!」
ケイトを叱る阿部さん。
しかし彼は、平気そうな笑ってみせる。
「だってさ、兄貴が本気になった女だって
香織姉から聞いたからすげぇ美人かと
思ったんだもん。
まさか地味な女を選ぶなんて思わなかったし……
兄貴。いつの間に地味専になったの?」
「恵斗。お前な!?」
また叱る阿部さんの声を聞き取れないぐらいに
私は、ショックを受ける。
いや、自分でも地味だと思っているし美人なんて
夢にも思っていないけど……そこまで何度も言われるとさすがに傷つく。
「こらこら2人共。喧嘩しないの!!
恵斗。この方が今日からあなたの担当マネージャーになる尾野千奈美さんよ。
今度は、ちゃんと言うことを聞いて仕事をしなさい。
くれぐれもスキャンダルは、やめてちょうだいね」
間を止めて私の紹介をしてくれる希美さん。
そ、そんな……!?
いくらカッコいい人気モデルでも
こんだけ馬鹿にされたら担当マネージャーなんかになれない。代えてもらわなくちゃあ……
「あの……私は……」
「俺は、反対です。
お前は、千奈美さんに対して失礼過ぎる。
ちゃんと千奈美さんに謝れ」
阿部さんが私を庇いながら叱りつけてくれた。
阿部さん……。
心臓がドキッと高鳴る。
そうしたらケイトは、私をチラッと見ると
ハァッ……と溜め息を吐いてきた。
「……分かったよ。彼女がマネージャーでもいいよ」
仕方がないと言わんばかりの態度を示してくる。