恋愛と失恋の果てに。
恵斗さんの真意は、よく分からなかったけど
阿部さんのいいところは、外見だけじゃない。
「阿部さ…お兄さんは、カッコいいだけじゃないと
思います。気遣いが出来る優しさ。
それに心の温かい人だと思います」
落ち込んでいる私をずっと見守ってくれた。
私が持っている阿部さんのイメージは、
そう言う人だ。
だからなのか……あの人の前だと気持ちが
楽になれる。
しかし恵斗さんは、疑い深そうに
「へぇ~あんたは、兄貴にそんなイメージを
持っているんだ?じゃあさ、何でそんな素敵な
兄貴と付き合わないの?」
「それは……」
私は、課長が好きだからで……。
モジモと言いにくそうにしていると
「なんだ……結局は、あんたも他の馬鹿女と同じで
顔だけで判断する奴らと対して変わらんじゃん。
いい女アピールってやつ?くだらない。
兄貴が見たらガッカリするだろうな」
「な、違います!!
他の人と一緒にしないでください」
彼の発言にムッとした。
私は、他の女性と同じにしないでほしい。
阿部さんにそんな風に想われたくない。
私は……あれ?
阿部さんに……どう想われたいのだろう?
しかし恵斗君には、
「他の女にねぇ……まぁ俺興味ないしどうでもいいけど。あ、見えてきた」
興味なさそうにされていたら
いつの間にかスタジオに着いてしまった。
私もどうしてそう思ったか分からずに
何も言い返すことが出来なかった。
何だか悔しい……。