恋愛と失恋の果てに。

「…………。」
恵斗さんは、そんな私の話を黙って聞いてくれた。
課長の話をするたびに

課長との思い出が蘇る。
思い出と言えるほど何かあった訳じゃないけど
悲しくなるくらいに私は、好きだった。

「笑っちゃいますよね……結局
課長は、元奥さんと娘さんのところに
戻っちゃうんですから。好きになるだけ馬鹿みたい」

本当……馬鹿みたい。

すると黙って聞いていた恵斗さんが呆れたように
溜め息を吐いてきた。
「なんだ……結局不倫しているのと対して
変わらないじゃん」

「な、だから違いますって……ちゃんと
話を聞いてました!?」
ムッとして言い返した。しかし彼は、

「同じじゃん。元奥さんだろうが、
そうじゃないだろうが相手の目を盗み会ってたり
相手に罪悪感を抱いたりさ。何が違うの?
結局お互いに本気になれなかったってことじゃん」
ハッキリとそう言ってきた。

酷い……。

私は、本気だった。
本気で課長のこと好きだった。

「わ、私は、本気で好きでした!!
あなたにそんな風に言われたくあり…」
そう言おうとしたら途中で鼻を摘ままれる。

「な、何をするんですか!?」

驚いていると恵斗さんは、
「アホ。本気で好きだったらもっと
堂々と胸を張ってなよ!例え叶わなくたって
恋をしていたのには、変わらない。
だったら自分で自分の恋を否定するような
ことを言うなよ」

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