恋愛と失恋の果てに。

「少なくてもあんたは、本気で好きになれる人が現れた。
それだけでも十分幸せ者じゃないの?
あんたも……あんたに愛された課長とかって人も」

真っ直ぐと私を見て言う恵斗さん。

本気て好きになれる人が現れた……私は、
幸せ者?自分の恋を否定するなとは、
阿部さんも言ってくれたけど
そんな風に言ってくれる人がいなかったから
驚いてしまう。心臓がドキッと高鳴る。

「そうなの……でしょうか?」

「少なくても……俺は、羨ましく思うけど」
一瞬切なそうな表情をするがフイッとそっぽを
向いてしまう恵斗さん。

恵斗さん……?

「恵斗さんは……本気で好きになったことは、
無かったんですか……?」
こんだけカッコいいのなら出会いもたくさんあって
モテモテだっただろうに。

すると溜め息を吐かれる。
「前にも言っただろ?兄貴と一緒で
外見で選ぶ女ばかりだと……他にも財力とかそればかり。
本気じゃなければ、中身すら見ていない。
そのくせ少しでもイメージと違うと好き勝手言うし
自分の意見を押し付けてくる」

「ただ兄貴と違うのは……俺は、顔だけの
落ちこぼれだと馬鹿にされるけどね」
そう言った恵斗さんの表情は、
酷く傷ついているように見えた。

顔だけの……落ちこぼれ?
そんなことはない。

「そんなことないですよ!
恵斗さんのことは…お会いして日が浅いですが
人を引き寄せる魅力かあります。凄くお洒落だし
綺麗で……あ、これだと外見しか言ってない!?
えっと……心の中は、優しい人だと思ってます!!」
必死に励まそうとするのだが上手く表現が出来ない。

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