恋愛と失恋の果てに。
「アハハッ……騙される方が悪い」
からかうようにまた笑いだす恵斗さん。
「どうして。そんな意地悪言うんですか?」
「そりゃあ、面白いからじゃん。まぁ……
あんたなら」
そう言いかけた時、スタッフさんが呼びにきた。
恵斗さんは、返事をすると立ち上がり行こうとする。
あ、ちょっと。
「ちょっとまだ、話が終わってない」
「続きは、今度な」
怒っている私に対して頭をポンポンと撫でて
なだめられてしまう。まるで子供扱いだ。
ムッ。年下のくせに……。
でも、何だがドキドキと高鳴ってしまう。
「あ、そう言えば私も行かなくちゃあ!?」
いつまでも休んでいる場合じゃない。
ちゃんと仕事しなくちゃあ……
あわあわと慌てながら立とうとしたら
私のスマホが突然鳴った。誰からだろう?
カバンから取り出して見てみると阿部さんだった。
阿部さん!?
驚いている瞬間、恵斗さんのことが浮かび
ビクッと肩を震わした。
何故か何とも言えない罪悪感を抱く。
でも電話に出なくちゃあ……私は、
そのまま出た。
「はい。もしもし」