恋愛と失恋の果てに。

何故か阿部さんのことを考えると
胸が苦しくなってくる。

『千奈美……?聞いてる?』

「あ、ごめん。何だけ?」
気を取られて聞いてなかったわ。

『だから、そんなカリスマモデルのケイトに
ずっとあんたの事を支えてくれてる阿部さんなら
千奈美は、どっちに惹かれてるか聞いてるの。
で、どっち?』

私にどちらかを選べと要求してくるさゆり。

「そんな選ぶなんて……失礼よ!?
それに……私は、まだ失恋したばかりだし……」

まだ課長のことを好きだし。
次の恋愛だなんて……割り切れない。

『もう……あんたは。選ばない方が失礼よ!
失恋には、新しい恋に限るわよ。
大体男は、課長だけじゃないんだから……それに
恋は、割り切るんじゃなくて自然とそうなるものなの』

『千奈美は、誰のそばに居たいか
これからの人生に誰と寄り添いたいかを考えていれば
自然と答えが見えてくるはずよ?
課長とは、もう終わった恋なの。終わった恋を引きずるよりも新しい恋に目を向けてみなくちゃあ』
さゆりに怒られてしまう。

割り切るんじゃなくて……自然となるものか。

そうなのだろうか?
私は、課長が好きだと想っているだけで
ただ新しい恋をするのに臆病になっているだけなのだろうか?

気持ちがモヤモヤする。

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