恋愛と失恋の果てに。

今は、ひたすら罪悪感ともっと
彼に何かしてあげたかったと後悔してばかりだ。

涙を流していると恵斗さんが私に
「あんたさ……もしかして兄貴のこと
好きなんじゃないの?」と話しかけてくる。

「えっ……?」
こんな時に何を言ってくるのだろう。
しかし恵斗さんを見ると切なそうに

「そんなに涙を流すなんて、意識をしている
証拠だろ?好きだから
失うのが怖いんじゃないのか?」
そう言ってくる。

私が……阿部さんのことが好き……?

「それは……」

「自分の気持ちに言い訳をするなよ。
考えてみなよ……兄貴を失った後のことを
兄貴が別の女に取られることを……少しでも
気持ちがあるなら嫌なはずだ」

「俺は、嫌だね。
それが、あんただと考えると最悪だ。
でも、あんたは……?
あんたは、誰とそばに居たいんだ?」

恵斗さんの言葉は、私の胸を大きく突き刺さった。
私は……

すると手術室のランプが消えて
医師が出てきた。
慌てて医師のもとに行く。

「陸斗は?陸斗は、無事なんですか!?」
阿部さんのお母さんが必死に尋ねる。

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