恋愛と失恋の果てに。
その後。
香織さんに付き添ってもらい
点滴をしてもらった後、自宅に帰らせてもらった。
私は、ベッドの中で声をからすほど泣いた。
そして泣きながら自分の気持ちにやっと気づく。
失いかけて初めて私は、阿部さんのことが
好きだと自覚する。
課長のことが好き過ぎて
他の恋に気づこうともしなかった。
課長以外の人を一生好きになることもないし
出会うこともないと思っていた。
でも阿部さんは、そんな私でも温かく見守り
好きだと言ってくれた。
ただ私は、それを認めようとしなかった。
認めるのが怖かったから
「ごめんなさい……阿部さん……」
何度謝っても遅い。
どうして私は、恋愛のことになると
こうも上手くいかないのだろう。
失敗ばかりして、相手を傷つけてばかり……。
その時だった。
スマホが突然鳴り出す。
涙を拭きながら震える手を伸ばして
スマホを取った。
着信は……さゆりだった。
さゆり……
私は、すがるように電話に出た。
そうしたら、驚いて自宅まで駆けつけてくれた。
泣きじゃくる私をずっと抱き締めて
一緒に居てくれた。
「大丈夫だよ。阿部さんは、きっとすぐに
目を覚ますから。
危なっかしい千奈美を1人になんかしないわよ」
そう言って……