恋愛と失恋の果てに。
「じゃあ、大学があるので、これで」
ペコッと頭を下げると手を振って行ってしまった。
梨々花ちゃんは、
本当は、とてもいい子なのだろう。
感情がストレートなだけで、きっと
お母さん似の素敵な女性になるだろう。
今なら課長の再婚話も心から祝福が出来る。
だって……
今なら私も課長の気持ちが理解出来るから
あの子の笑顔を奪わなくて本当に良かったと思える。
「ママ~!!」
そう思っていたら1人の男の子が私のところに現れた。
「あ、奏斗。やっと来たわね。
あれ?パパと伊織は?」
「あっち……」
そう言い息子の奏斗が指を指したところを見ると
娘の伊織を抱っこして歩いている
阿部さんの姿があった。
彼は、私を見るなりニコッと笑った。
「もう遅いわよ。何処で寄り道をしていたのかしら?」
そう言いながら奏斗を連れて彼のもとに行く。
母親になった今なら……分かる。
どんなに想ったとしても
子供の幸せが1番大切だってことを
あの時の彼の気持ちが今なら痛いほど分かった。
私の好きだった
鬼課長は、バツイチ子持ちでした。
END。