恋愛と失恋の果てに。

「そうか……ありがとう。梨々花が喜ぶよ!」
ニコッと笑う課長。

その笑顔は、私のためじゃない。
梨々花ちゃんのためだって……分かっているのに
胸がギュッと締め付けられそうになる。

この恋は……辛い。

この後。
何もなかったかのように仕事を続けたが
心の中は、ぽっかりと空いていた。

『はぁっ?誘うんじゃなくてあげちゃったの!?
せっかくあげたチケット』

その夜。
さゆりに誤りの電話をした。
せっかく私のために譲ってくれたチケットを
無駄にしてしまった。

「……うん。ごめんね?
せっかく譲ってくれたのに」

『そんなのいいわよ。それよりも
何で誘わなかったのよ? 
デートに行けるチャンスだったのに』
呆れたように言うさゆり。

ううん。行けるチャンスなんてない。
だって課長は、梨々花ちゃんと過ごしたかったから。
きっと、言っても断られるだろう。

「無理だよ……課長は、
娘さんと過ごしたかったみたいだもん。だって」
私は、理由を話した。

話し終わるとハァッ……と溜め息を吐かれる。
「千奈美は、人が良すぎるのよ!」
そう言われた。

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