恋愛と失恋の果てに。
そう思ったとき
少し課長に似ているような気がした。
不器用ながらも優しさを持った人。
課長のことを想うとドキドキして
また胸が苦しくなってくる。
「まだ具合が悪い……?」
心配そうに私を見てくる。
「あ、いいえ。もう大丈夫です。
ちょっと緊張し過ぎて疲れちゃったんだと思います。
こう言ったデートとか慣れないので」
課長に遭遇したくないからなんて
言えないけど……。
「そうなんだ……?」
「はい。だから気にしないで下さい。
えっと……」
「阿部ね。阿部陸斗」
「あの……阿部さんのせいじゃないので
気にしないで下さい」
もう一度言い直した。
本当に……この人のせいじゃない。
すると頭をポンポンと撫でられる。
「うん。ありがとう。
ねぇ、もう少し休憩したらさ。
何処か食べに行かない?俺……お腹空いたし。
あ、もちろん無理やりじゃないよ?
君の意思を尊重する。どうかな?」
彼……阿部さんがそう言ってくれる。