恋愛と失恋の果てに。
「そうか。それなら良かった。
じゃあ、また帰りでも声をかける。これ
確かに受け取った」
そう言うとひょいと持っていた資料を取ると
課長は、そのまま行ってしまった。
私は、立ち止まったまま嬉しさを噛み締める。
ダメだと思っていたのに
まさか課長から食事に誘ってくれるなんて
お礼のためだけだとしても
今の私には、嬉しかった。
慌ててスマホを取り出すとさゆりにLINEで送った。
『昨日の水族館のお礼に課長から
食事の誘いにがあったのよ。嬉しい。
頑張るね!!』と……。
あんなに悩み自暴自棄になっていたのに
食事の誘いだけで舞い上がる自分は、単純だと思った。
でも、嬉しくて仕方がない。
仕事を早く終わらせると
私は、課長と待ち合わせをして近くの小料理屋に
連れて行ってもらった。
「ここの料理は、個室もあるし美味しくてたまに来るんだ。
梨々花も前の妻も気に入っている」
そう言い中に入って行く課長。
梨々花ちゃんと前の奥さんも連れて来たことがあるんだ。
家族なんだから当たり前なのだが胸がズキッと痛む。
中に入ると確かに雰囲気も良くて
細かく個室になっているので周りを気にせずに
気軽に食事を楽しめそうだ。
個室に案内をされると
「何を注文する?これなんかお勧めだぞ」
課長のお勧めを教えてもらう。
「あ、じゃあ……それで」