恋愛と失恋の果てに。

課長は、私の分を含めて注文をしてくれた。
しばらくしてビールが来たので飲む。

課長とお酒を一緒に飲むのは、忘年会ぐらいだろうか。
忘年会と言ってもバラバラの席だったし
私は、まともに会話をしてこなかった。
言わば、今日が初めて1対1で飲むことになる。

不思議で余計緊張してしまう。
何か話さなくちゃあ……

「あの……水族館どうでしたか?
何かイベントとかやっていましたか?」
私は、水族館の話題を出してみた。

そうしたら課長は、
「そうだな。シャチのショーがあったぞ。
梨々花は、シャチやイルカが昔から好きでな。
喜んで写メまで撮っていた」
思い出したのかクスッと笑いながら話してくれた。

課長は、梨々花ちゃんの話をする時は、
よく笑う。
可愛くて仕方がないのが伝わってくる。

娘なのだから当たり前なことだし、
仕方がないことなのに気持ちがモヤモヤしてくる。
私は、梨々花ちゃんに嫉妬しているのだろうか?

課長の娘なのに……。

「課長は……いいお父さんをしているんですね」

「そうか?梨々花には、
昔から寂しい思いばかりさせている。
仕方がないと今でも言い聞かしてばかりの
酷い父親だ!」
寂しそうな表情で答えてきた。

……そんなことない。

こんだけ愛されていたら
きっと寂しいなんて思わない。

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