恋愛と失恋の果てに。
だが阿部さんは、
「辛かったね。泣きたい時は、泣いたらいい。
俺が……ずっとそばに居るから。
だから泣いてもいいんだよ」
困るところか私を受け入れてくれた。
その優しさは……温かくて
さらに涙が溢れてくる。
「ふぇ……っ……」
私は、久しぶりに声を出して泣いた。
声を出して泣くなんて子供っぽいだろう。
でも、そんなのどうでもいいぐらいに
悲しくて仕方がなかった。
どんだけ泣いたか分からない。
意識も朦朧としていて気づいた時は、
私は、ベッドの上で眠っていた。
あれ?頭が痛いしココは……何処?
起き上がりと知らない部屋だった。
頭痛が酷いし自分の置かれている状況がよく分からない。
窓のカーテンから光りがうっすらと見えていた。
朝……?
するとガチャッとドアが開いた。
「あ、起きた?千奈美さん。
あの後も泣き続けてその内に寝ちゃったから
俺のベッドに運んだんだ」
ニコッと微笑む阿部さん。
阿部さんの……部屋?
みるみる内に自分の置かれている状況を思い出した。
そうだ。課長にフラれたことが、あまりにもショックで
泣いてしまい……そして阿部さんに泣きついて。
ハッ!!
慌てて自分の身なりをチェックする。
だが服は、そのままだった。
良かった……あまりの悲しさと寂しさで
阿部さんと関係を持ってしまったかと思ってしまったわ。
ホッと胸を撫で下ろす。