恋愛と失恋の果てに。

もうダメだ。
怒られる……私は、そう覚悟をした。
しかし

「尾野。お前……何か勘違いしている。
あの子は、俺の娘だ」

えぇっ!?
か、課長の娘さん!!?

「えっ?でも課長は、独身だったはずじゃあ……」
なのに何故娘が居るの?

「……確かにある意味独身かもな。
娘の親権は、2年前に別れた妻が持っている。
たまに別れた妻が仕事で居ない時に家に
泊まらしたりしている。
お前が目撃したのは……この辺りだ」

別れた奥さんが居ない時に
泊まらしている……そうなんだ!?

じゃあ、私の勘違い……
そう思ったら死ぬほど恥ずかしくなってくる。

「も、申し訳ありませんでした。
私の勘違いで」
必死に頭を下げて謝罪をした。

すると課長は
「まぁ、お前の早とちりに呆れたもんだが。
離婚どころか結婚していたと知る者は、俺が
部署を移動してからほとんど居ない。
仕方がないだろう」
溜め息を吐きながら言う。

「えっ?何で隠しているんですか?」
結婚をしていたことを隠すなんて
普通だとありえないことだ。

それに離婚。
そりゃあ、あれだけ怖いんだもの。
家であれだけ怒鳴られたりしたら逃げ出したくも
なるだろう。

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