恋愛と失恋の果てに。
しばらく泣き続けた後
「じゃあ俺は、そろそろ仕事に行くけど
千奈美さんは、どうする?」
私にそう尋ねてくる。
「じゃあ、私もそろそろ……」
いつまでも阿部さんの部屋に居る訳には、
いかないし……。
「そうか。じゃあ途中まで一緒に行こう」
少し照れたようにそう言ってくれる。
私は、阿部さんと一緒にマンションを出ると
そのまま会社に向かった。
服が昨日とまったく同じなので気づかれないか
ドキドキだった。
会社に着くと自分のデスクに座ると
チラッと課長のデスクを見る。
あれ?まだ来ていない……。
顔を合わせづらいから良かったはずなのだが
いつまも早い課長にしたら珍しいことだった。
すると
「あれー?尾野さん。
昨日と同じ服じゃないですか?」
仲のいい同僚に気づかれてしまう。
ギクッ!!
やっぱりバレちゃった!?
「えっと…昨日久しぶりに友人と飲んで
そのまま友人の宅に泊まったのよね」
苦笑いしながら無理やりな言い訳をする。
「ふーん。友人ねぇ~」
「怪しいわねぇ~相手は、どんな人か
白状しなさいよ?」
明らかに疑われている。
やっぱり無理があったかしら……?