恋愛と失恋の果てに。

しばらく泣き続けた後
「じゃあ俺は、そろそろ仕事に行くけど
千奈美さんは、どうする?」
私にそう尋ねてくる。

「じゃあ、私もそろそろ……」
いつまでも阿部さんの部屋に居る訳には、
いかないし……。

「そうか。じゃあ途中まで一緒に行こう」
少し照れたようにそう言ってくれる。

私は、阿部さんと一緒にマンションを出ると
そのまま会社に向かった。
服が昨日とまったく同じなので気づかれないか
ドキドキだった。

会社に着くと自分のデスクに座ると
チラッと課長のデスクを見る。
あれ?まだ来ていない……。

顔を合わせづらいから良かったはずなのだが
いつまも早い課長にしたら珍しいことだった。

すると
「あれー?尾野さん。
昨日と同じ服じゃないですか?」
仲のいい同僚に気づかれてしまう。

ギクッ!!
やっぱりバレちゃった!?

「えっと…昨日久しぶりに友人と飲んで
そのまま友人の宅に泊まったのよね」
苦笑いしながら無理やりな言い訳をする。

「ふーん。友人ねぇ~」

「怪しいわねぇ~相手は、どんな人か
白状しなさいよ?」
明らかに疑われている。

やっぱり無理があったかしら……?

< 62 / 235 >

この作品をシェア

pagetop