恋愛と失恋の果てに。
課長……?
何で課長のせいになるのだろうか。
見ると眉を曇らせていた。
「俺は、家庭に向かない性格だ。
妻や娘のためにと思いしてきたことも……結局は、
彼女らを苦しめる結果にしかならなかった。
お前も……俺のせいで苦しんでいる」
「だったら、さっさと俺のことを忘れて
あの男のもとに行った方が幸せにしてくれる。
誠実そうな奴だったじゃないか。
昨日……その男とずっと一緒に居たんだろ?」
そう話す課長の表情は、とても苦しそうで
切ない表情だった。
まるで傷ついているかのように……。
「ち、違います!!た、確かに
泣き疲れて阿部さんの自宅で寝ちゃったけど
何もありませんでした。本当です。
それに課長と奥さんに何があったか分かりませんが
梨々花ちゃんは、課長のことが大好きなんだって
他人の私でも見てて分かりました」
「だから……課長は、家庭に向いてないってことは、
ありませんよ!!」
自分のフォローをするはずが
何故だか課長のフォローを必死にしてしまった。
まだ阿部さんとの誤解を解いてないのに……。
すると少し驚いた表情をしていた課長が
クスッと笑った。
笑った……!?
「尾野は……不思議な奴だな。
君に言われると自分も捨てたものじゃないと思えてくる」