恋愛と失恋の果てに。

「俺にも色々あるんだ。
そんなことより人の事を探る暇があるなら
仕事のスキルを上げろ。
頼んでおいた企画書は、出来ているんだろうな?」

ギクッ!!

「それは、まだ……」

「だったら遊んでないで、さっさとやれ!!」
思いっきり怒鳴られてしまった。

「は、はい!!」
背筋がビシッと硬直すると
逃げるように立ち去った。

ひぃぃっ……怖い。

何よ……ちょっと勘違いしただけじゃん。
そりゃあ、人の家の事情を検索するのは、
よくないけど……課長は、謎が多いのよ!

元でも既婚者で
まさか離婚までしていてお子さんがいるなんて
そんなの分かる訳がない。
ブツブツと文句を言いながら廊下を歩く。
 
でも……
フッと娘さんにむけた笑顔を思い出す。
あれは、父親としての笑顔だったんだ……。

厳しい表情と違い
どこか不器用ながらも優しそうだった。
あんな顔も出来るのか。
思わないギャップに驚いたが
ちょっと娘さんが羨ましくなってくる。

いやいや。羨ましいなんてありえない。
きっと珍しいから気になっているだけよ!
そうに違いない。
自分に言い聞かした。

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