恋愛と失恋の果てに。

次の日。
仕事に使った資料をしまうため資料室に行く。
片付けていると佐々木課長が入ってきた。

うっ、課長だわ!!

昨日の事があるから会うのに抵抗があった。
私は、見えないように隠れる。
すると課長は、徐に何処かに電話をかけていた。
誰からだろう……?

ソッと聞こえるように覗き込む。
「あ、俺だけど。
さっきのLINEを見たが、どうにかならんのか?
梨々花は、楽しみにしてたんだぞ?お前と一緒に
旅行に行けるのを……」
眉を寄せて言う佐々木課長。

まさか、元奥さんに!?
梨々花って……あの娘さんの名前かな?

ずいぶんと可愛らしい名前ね。
娘さんに似合っているけど一体誰がつけたのだろう。
まさか……課長じゃないわよね?

不思議に思っていたら
「いや、仕事なのは、十分理解している。
俺のことならいいが相手は、梨々花だ。
もう少し仕事を調整出来ないのか?」

何やら揉めている雰囲気だった。

話によると元奥さんと娘さんが
旅行に行くはずだったけど
元奥さんの仕事の都合でダメになったのかな?
課長も意外と娘さん思いだなぁ~。

感心しながら熱心に聞いていると
課長と目が合ってしまった。
あ、ヤバい!?

あまり見すぎて気づかれちゃった。
慌ててると課長は、
「……悪い。またかけ直す」
そう言い電話を切ってしまう。

そして私をジロッと睨みつけられる。
ビクッ!!
肩が震え上がった。

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