恋愛と失恋の果てに。

課長の元奥さん。


結局。上司として行くことになってしまった。
気まずいままタクシーで移動をする。

「…………。」
なんて会話をしたらいいんだろう。
泣いて飛び出したから顔だって合わせづらいのに。

すると課長が
「尾野。仕事は、仕事だ。
悪いと思っているが仕事ぐらい普通にしていろ」
そう言われる。

「……はい。すみません」
普通……普通って一体どうしたらいいのだろう。
どんな風に接していたっけ?

そもそも課長は、仕事だからって
割り切れる人なんだ……。
私のこと……その程度の気持ちだったんだ。

胸がズキッと痛む。

お互いギクシャクしたままクライアントの会社に
着いてしまった。
そこで打ち合わせをすることに。

「あの……今回は、女優さんの働く美しさと
プライベートの充実などを出して
より輝かしい印象を与えるCMにしたいと思っています」
クライアントに一生懸命説明をする。

「その女優なんだが、もう誰にするか
決めているのかね?」

「は、はい。何人か候補を……どちらも
若くて人気も注目もある女優さんばかりです」

若くて人気な女優さんなら
若い世代をターゲットに出来る。
人気も出るだろう。

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