恋愛と失恋の果てに。
「そこで何をしている?」
低い口調で言われる。
「あ、あの申し訳ありません。
ちょっと資料を片付けていたら声が聞こえてきて」
必死に頭を下げて謝罪をする。
ど、どうしょう。
盗み聞きした上に怒らしちゃった。
頭の中がパニックになる。
あわあわしていると佐々木課長は、
ハァッ……と溜め息を吐く。
「尾野。落ち着け。
聞かれたものは、仕方がない。
ただ話していた内容は、誰にも言うな」
「は、はい。」
そんな恐ろしいこと言うわけがない。
言ったらどうなるか分からないもの……。
ビクビクしながら返事をすると
佐々木課長は、私の方に近づいてくる。
えぇっ!?
も、もしかして脅すつもり!!?
あまりの恐ろしさに動くことすら出来なかった。
すると課長は、私の頭をポンポンと撫でてきた。
えっ……?
課長を見ると少し困った表情で
「そんなにビクつかなくても怒ったりしない。
だから怖がるな」
そう言ってきた。
まさか課長に頭を撫でられるとは、思わなかったら
驚いてしまう。
それを見た課長は、パッと手を離してきた。
「あ、悪い。今は、頭を撫でることも
セクハラの対象になるんだったな。
つい娘にやっている調子でやってしまった。
すまない」
申し訳なさそうに謝ってくるじゃないか。