ゲームセンターにご用心
鶫がようやく立ち上がった。

慌てて飛び始める鶫。

けど、さっき足を痛めたのか、なかなか進んでいない。いい気味。


そして、見えてきたゴールテープを、私は切ったーー。

私は足を止め、ふぅっと息をついた。

良かった・・・。

【では、ランキングを発表します。1位:ツルミ。】

え?鶫はビリでしょ?

【2位:サイオンジ、3位:ミイナ】

「嫌だぁっ!

死にたくない死にたくない!

なんで!?ビリは鶫さんのはずでしょ!?

私はビリじゃないっ」

ふぅが首をぶんぶん振って嘆く。

すると、鶫がクスッと笑ってこう言った。


「ね?そんな簡単じゃないって、言ったでしょう?」

またあの、いやらしい笑みで。

なんなんだろう、確かに鶫はビリだった。

それも、ふぅとはかなりの差があったはずだ。

見間違えるとは思えない。

それに、万が一見間違えたとしても2位になるはずだから。

鶫がズルをしたとか?

いや、そしたらとっくに殺されてるはずだ。

このゲームはそんなに簡単じゃないはずだから。

じゃあなんで?

鶫は何をして1位になったというの?

「ぅあっ!いっ、いたっ・・・やだっ・・・」

ふぅが大量のアブラ汗を流しながら叫ぶ。

「死ぬの!?ここで!!なんでか理由も分からないまま!ママぁパパぁ助けて!」

それでも、ふぅの身体からはどんどん血が溢れてくる。もう、慣れた。


【これより、休憩時間に入ります】

やっと、休憩時間だ。

どっと疲れてしまった。

たくさん動いたからだろうか?

でも、私には聞きたいことがある。


鶫に・・・。

「鶫。」

ふわりと鶫が振り返る。

全然、さっきの鶫とは別人みたい。
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