ゲームセンターにご用心
むっ。私を呼び捨てにして・・・。

まあいいわ。

スピーカーからの音声で、UFOキャッチャーの台がチカチカし始めた。遠隔操作で、お金を投入させたことにしてるのね。

私は腕まくりをした。1、と書いてあるボタンを押し、アームを横移動させる。

・・・よし、ベストポジションだわ。


そして、2、と書いてあるボタンを押して、アームを奥へ移動させる。

「ここよっ!」

3、と書いてあるボタンを長押しし、止める。これ、キテるわ。

ヴィーンヴィーン

持ち上がった!よし、取れる。

ポトン

「やったぁ、取れたわ!」

これで、私はクリアよね!?景品かなにか、貰えるのかしらね!?

【サイオンジ、クリア。次、ヤナギサワ】

「はっ、はい!」

ふふっ。ゲームセンターの店員やってるんだから、取れるわよね?


「い、いきます・・・。」

柳沢は、震える手でボタンを押してゆく。あんなんで取れるのかしら?

でも、やはり上手かった。柳沢は、完璧な距離でボタンを止めた。

アームが強かったのも救いかもしれない。

掴んだ景品を、アームは離さなかった。

ヴィーンヴィーン

「とっ、取れた!」

フン。景品1個くらいにギャーギャーうるせーな。

【ヤナギサワ、クリア。次、スズキ】

「はあっ!?あたし、出来ねーよ・・・。」


前の2人が成功しているから緊張しているのだろう。このムードを、壊してはならない、と。けど、希依那はいつも私が景品を取るのを見ているだけで、やることはしない。
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