もしも君を愛すなら……。
ここは中庭の、木陰にあるベンチ。


そして今は昼休み。


『恋人なら一緒にお昼を食べるものでしょ?』と俺が言い、佳穂がそれを渋々了承して今に至る。


『困った』というのは、人気のない筈の中庭に、俺等を見るためにギャラリーが集まってしまい、ゆっくりと昼食を味わえないことに対してだ。


「えー? 佳穂は気にならないの?」


いつも通り冷ややかに俺の言葉を一蹴する佳穂に、俺は唇を尖らせて抗議した。
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