もしも君を愛すなら……。
「なぁ、矢神。聞いたか?」


机の椅子をガタガタと揺らしながら、クラスメイトの男子が、そう言う。


主語のない、理解しにくい唐突な話題だ。


「? 何を?」


問い返した俺に、そいつは言う。


「ウチの学校の姫。転校するってさ」


少し、


ほんの少しだけ、


目を見開いた。
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