もしも君を愛すなら……。
『姫』というのは、無論佳穂のことだ。


大体高校には入試というものがあり、転校という行為は極稀だ。


そして、佳穂の名前。


そいつがどういうつもりで俺にその話題を振ったのかは知る余地もないが、何か意図してのことだろう。


俺は首を横に振って応えると、視線で続きを促した。


「いや、何かさ? 姫の突然の転校って、何か事情があるらしいんだよな」


事情?
< 71 / 127 >

この作品をシェア

pagetop