弱虫男子
「あのさ、余計なお世話かも

しんないけどさ…」


前川は言いにくそうに

ポケットに両手を突っ込んだ。



「うん?」


堂々と一人でいられる彼女だって、

本当は苦しんでる。


何でか今、急にそう思った。



「まぇ…

ゆう子ちゃんもう教室行くでしょ?

一緒にあがろっか?」


前川ゆう子は俺の顔を真正面から見返して

俺の前を一人で歩き始めてから


「うん。」


と答えた。



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