弱虫男子
長い廊下の向こうから

歩いてくるのは

彼女たちのグループだった。


たぶんトイレから

戻ってきたのだろう。


彼女は俺に軽く手を振り、

みんなと連れ立って


教室に入っていった。



手には脱いだカーデガンをかけている。



俺は彼女を追いかけて

カーデガンを奪い、


背中の方から手を伸ばし

彼女の腰に巻きつけた。



腕の中にいる彼女の耳元で


「はずすなよ。」


とささやくと、

彼女は


「はーい」


と言って受け入れ、

教室に入ってきた

オミの姿を見つけて

さりげなく離れた。
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