弱虫男子
捕らえられたヤスは、

一人うつむいてしまって

耳たぶまで赤くしている。



そのくせ口では精一杯の悪態をついて

まだ何とか逃れようとしているようだ。



ヤスのあまりの必死さに

同情したのか、


女子二人が視線を合わせて

ちょっと気まずそうにしたのが見えた。



やっぱこのままじゃ

ビミョーだよな。



もうヤスには諦めてもらうしかないな。



軽くついた自分のため息を合図に、


俺はヤスの前髪を撫で上げて

おでこに口づけた。

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