弱虫男子
「シッ」


唇に人差し指を押し当ててウィンクする。


みんながおとなしくなって、


部屋中に呼び出し音が響き渡った。



うるさいカラオケBOXの中で

こんなにみんなが息を殺している

部屋はないだろう。



室内の温度が

一気に上がった気がする。



みんながヒーローでも見るような目で

見上げてきて、


俺は震えの止まらない身体に

気づかれないことを祈り続けた。
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