弱虫男子
「なんかさ、イギリスあたりのロッカー

って感じじゃねぇ?」


俺はそう言いながら

ギターを弾くまねをしてみせる。



彼女は俺を誉めたあと、

ちょっと寒そうに自分の身体をさすった。



慌てて俺のカーデガンをかけてやると、

袖を通した彼女が続きを待った。



末っ子ってこういうことか。



そんなことを考えながら

俺は自分の耳が

赤くなっていくのを感じていた。




彼女の胸の高さまでかがみ、

三つのボタンを時間をかけてつないだ。



まいったな。
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