弱虫男子
今夜もクマを引き連れて

ベッドにもぐりこむ。



心ではこいつに彼女の名前を

つけているんだけれど、

声に出すのだけは

何とか踏みとどまっている。



最初はぬいぐるみと寝るなんて

なんか後ろめたかったのに



そんな気持ちも、

もうすっかり消えていた。




「なぁ、俺ばっか好きなのかなぁ?」



返事はない。




「こんなはずじゃなかったんだ」



言いかけてのみ込む。

口に出すのも怖い。



もう、限界かもしれない。
< 93 / 206 >

この作品をシェア

pagetop