長い一日が私の短い一生。
話した方が良いのかな。
そしたら今日の私のこと覚えてもらえる?なんて柄じゃないことまで考え出してしまう。
「おい,なんか言えよ」
抱き締められたままそう言う。
「え,と,本当になんでもないですよ 、」
「いつ答えてくれるんだよ,」
いつ答えてくれるんだよ,といわれても,明日には茜くんの記憶がないからどうしようもない。
いっそのこと今日いえばいいんじゃないか。と思った。
「きいて,引かないで下さい,」
そう思った瞬間私は話し出していた。
「わ,私は1日で記憶がなくなるんです,」
それを聞いた時の茜くんの顔は怖くて見れなかった。
「でも,中1の時からで,中1までの記憶ならあるんです,だから親とかは普通に分かるんですよ !!」
明るく話してみる。
「中1の3学期がはじまる日,普段通りに起きたんです,それで,普段通りに1日過ごして,帰ってきて,日記書いて,寝たんです,あ,日記書くのは小学校の時からやってたんですよ?」
「ここまでは普通に記憶があるんですよ,ここからは,日記を呼んだだけなんですが,」
「次の日起きて,普通に過ごして,帰ってきて日記書いて寝たんです,」
「それで,次の日起きたら,前の日の記憶がなくて,親に話して病院にいったんです,そしたら,なんの異状もなくて,その日帰ってきて,日記を書こうと思って開いたら,昨日のことがノートにびっしりかかれているんです,覚えてないのに,それでその日の私は今日のことをノートにかいて寝ました。」
「次の日起きたら,昨日と,一昨日の事がなにも思い出せなくて,親に言って,また病院にいったんです,そしたら,昨日なかったものが脳から見つかって,私が,1日で記憶がなくなる症状がでる病気だって知ったんです,」
ここまで言った時にはもう私は泣いていた,
大丈夫だよ,と言うように茜くんは私の背中を摩ってくれる。
「それで,親と話して,毎朝日記をみることにしたんです,それで,今に至る感じです,」
と言って口角を自分なりにあげてみる。
微笑んでる様にみえるかな。なんて思いながら。