長い一日が私の短い一生。
少し沈黙が続いた。
やっぱり信じてもらえないかな。引かれたかな。なんてことを思ってしまう。
「しってた?」
不意に茜くんが話しだす。
「古川さんの名前に茉って漢字あるじゃん?」
急に名前のことを言われ,驚く。
「え,?あ,」
突然のことで上手く話せない。
「茉ってジャスミンの花のように周りの人を癒してくれる存在になって欲しいって意味なんだって」
自分の名前の意味をはじめてしった。
「古川さん名前の通り育ってるじゃん,それだけで親御さんも嬉しいと思うよ?まぁこれ今調べたんだけどね,」
こちらに向かって微笑む茜くんは眩しかった。
親の事考えてくれたのかな,なんて思う。
「俺なんかあれ,茜色って,綺麗じゃん,親がその色好きでさ,なんか似合うようになって欲しいとかなんとかなんだって,俺に全然あってないんだよ」
と言ってかなしそうに笑う。
思うより先に口が動いていた。
「茜くんはそんなことないです,いまの空,綺麗な茜色ですよ?茜くんって感じでっ、」
必死に思いを伝えようとする,
「ありがと,」
そう言って優しくはにかむ茜くんは本当に茜空が似合う。
もう時が止まればいいのに。と思った。