長い一日が私の短い一生。
「あ,じゃあさようなら」
他人行儀の挨拶をし,帰ろうとしたのがバレたのか,茜くんに手をつかまれる。
話をした後,玄関まで一緒に降りたのだ。
「ねぇ,」
急に話しかけられビクッとする。
「俺がさ,」
少し緊張して話す茜くんにつられて緊張しそうだった。
「俺が明日も明後日も,古川さんに話しかけて今日のこと言うから,」
そう言って手をぶいっとする茜くん。こんなことがいままでにあっただろうか。こんなに嬉しい放課後が。
「はい,まってます、、ううん、まってるね」
また溢れそうになる涙を抑えてできる限り微笑む、
「それじゃあ。」
これがその日の私との最後の会話になった。
私はその日の夜,茜くんとのことは日記にかかずに,体育祭のことだけを書き,重い瞼を涙と共に閉じた。