大切なきみへ
「今なんて言った?」
「彼女にとっていい選択なわけ?」
「…」
「王子も怒るんだな?」
とどこか嬉しそうに言って黒い笑顔を浮かべた
山本の言葉で思い出した、今俺が花華にできる1番良い選択
…そんなの分かってたじゃん
もう3日も連絡がとれない彼女
“高校生、待ちどうしかったんだあ
蓮と一緒に帰れるから”
“私、彼氏と一緒に帰るの夢だったよ〜”
“好きな人と同じ学校って幸せだね”
前は嬉しかった、花華の言葉
こんなことを無邪気に言っていた、花華の笑顔
そのひとつひとつが俺の決断を急がせた
…花華を好きなやつなんて俺以外にもたくさんいる
それなら花華が一緒にいて幸せなのは俺じゃない誰かだ
その誰かに浮かぶ顔はもちろん奏
…このままだと縛りつけてることになる
急いでケータイを持って教室を出た