大切なきみへ

…え?





「なにも言い返せないの?」




“あはははっ”

と楽しそうに笑っている2人の前で、何も言えなかった







「うわっ」






“ドンッ”と鈍い音がして、

体が床に打ち付けられた





今、綺世ちゃんが押したの?





「だっさぁ!
てか邪魔なんだけどなぁ?」


可愛いあおい先輩の声は、鋭い





…わけわからないのと、ショックなのと

その2つが混じってその場所から動けなくなった





ただ浮かんだのは、飛行場で見た最後の蓮の笑顔だった





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