大切なきみへ


いつのまにか三浦くんも伶くんも帰ってきていた


「ね、花華あやせ夏休み帰ってくるの?」



無邪気な桃のことばに、現実に戻された気がする




今はまだ、言いたくなくて




「ん〜、分かんない!」



なんて嘘をついた

…もう別れたよなんて言えなくて

振られちゃったなんて言えなくて




言ったらなにかがこわれてしまいそうだった



ごめんね




「もー、彼氏でしょ!」




「ふふ〜」





ほんとにごめんね



皆が笑っているなか、三浦くんだけは私の表情をとらえて離さなかった





気づいちゃったかな




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